Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
「私には少しも成功とは思えませんが……」
これだけを言うのにも彼の声は震えていた。しかし日ごろの沈黙に似ず、彼は今夜だけは思う存分に言ってしまわなければ、胸に物がつまっていて、当分は寝ることもできないような暴れた気持ちになってしまっていたのだ。
「今日農場内を歩いてみると、開墾のはじめにあなたとここに来ましたね、あの時と百姓の暮らし向きは同じなのに私は驚きました。小作料を徴収したり、成墾費が安く上がったりしたことには成功したかもしれませんが、農場としてはいったいどこが成功しているんでしょう」
「そんなことを言ったってお前、水呑百姓といえばいつの世にでも似たり寄ったりの生活をしているものだ。それが金持ちになったら汗水垂らして畑をするものなどは一人もいなくなるだろう」
「それにしてもあれはあんまりひどすぎます」
「お前は百歩をもって五十歩を笑っとるんだ」
「しかし北海道にだって小作人に対してずっといい分割りを与えているところはたくさんありますよ」
「それはあったとしたら帳簿を調べてみるがいい、きっと損をしているから」
「農民をあんな惨めな状態におかなければ利益のないものなら、農場という仕事はうそですね」