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Japanische Klassiker mit Furigana

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カストリこうじつろく

カストリ侯実録

久生 十蘭

Lesen Sie カストリ侯実録 (カストリこうじつろく) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.619 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

なにより不審なのは、シモン夫婦がタンプルを去るに際して、太子を暗牢に入れたことである。

「その暗さは、容易に太子の正体を見定めることが出来ない程度だった」とバラッス子爵が証言しているが、太子の救出を危惧したとしても、防ぐ方法はいくらもあるはずで、野獣でも馴らすわけでもあるまいし、何故にそんなところへ押し込める必要があるのか。シモンが人並みはずれて残忍な嗜好を持っているとしても、あまり度外れなやり方で、姉のマリイ・テレーズが厚遇されているのに比較して、なにかしら承服しにくいものがある。

太子はほんとうにタンプルで死んだのだろうか。事実だとしてもそれは太子ではなく、ほかの子供だったのだろうという意見は、右のような点から割りだされたわけだったが、間もなくこの臆測に証明を与えられることになった。シモンの妻のジャンヌは痛風と肺水腫症でセエヴル街の市民病院に入院していたが、その頃重態になり、懺悔のつもりか、太子は安全にタンプルを抜けだしたと幾度も確言し、身代りの子供を置いて自分が連れだしたらしいことをほのめかした。

死ぬものと思いこんでいたらしいジャンヌは死にもせず、間もなく本復して退院したが、早速、第十五区の警察へ呼びだされて訊問を受けた。