Japanische Klassiker mit Furigana
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カナリヤとしょうじょ
カナリヤと少女
山川 方夫
Lesen Sie カナリヤと少女 (カナリヤとしょうじょ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.534 Zeichen · 5 Bildschirme
少女は目が大きく、すこし茶色がかった髪の色が、その色白の頬によく似合っていた。だが彼女は、いつもその大きな目で、必死に食い入るようにまじまじと相手を見る癖があった。不幸なことに、彼女は生まれつき耳が聞こえず、また、唖であった。
その町は港で、遠洋に出漁する漁船たちの根拠地の一つだった。彼女は町の、海岸に近い小さな食堂につとめていた。
一羽のカナリヤが、彼女のただ一つのペットだった。小鳥は、夜は食堂の屋根裏――そこが彼女の部屋なのだが――に吊られた籠の中に、昼は彼女の肩の上に、いつもおとなしくとまっていた。そして、ときどき、口のきけない彼女の代りをするみたいに、たからかな澄んだ囀りの音を聞かせた。
ある春の日、全身からまだ海の香りがぷんぷんする若者が店に入ってきた。と、ふいに少女の肩のカナリヤが、その若者の肩にのった。若者と少女の目が出会って、次の瞬間には、どちらからともなく二人は笑っていた。
若者は、それから毎日のように店に通ってきた。ときにはカナリヤの餌をもって。
やがて、彼を迎える少女の目に、はじらいとよろこびにみちた特別なかがやきが宿りはじめ、そんな少女の心を語るように、彼女以外のだれにも慣れなかったカナリヤが、しきりに彼の頬に翅をすりつけるようになった。