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Japanische Klassiker mit Furigana

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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

Lesen Sie ガラマサどん von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 99.079 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、冗談だよ。ハッハヽヽ」

と社長は矢張り戒めたのだった。

「祖父は気紛れものだったそうですから、随分お骨折りでございましたろう?」

「無筆の人の秘書ってものは楽なようでいて苦しい。書くばかりでなく、読んで聞かせなければならないからね」

「成程」

「此方も骨が折れるが御本人も不便だろうと思って、六十の手習いを勧めて見たけれど、梃でも動く人じゃない」

「強情だったそうでございますよ」

「俺はお前達麦魚ッ子とは人間の出来が違う所為か、細かいものを見ると目が廻ると言ったよ」

「はゝあ」

「その代り気力が好いから、一遍見たこと聞いたことを決して忘れないと言って威張っていた」

「社長」

「何だ?」

「要するに、京橋際の便所から拾い上げられて請負人の手代におなりになったのが社長の御一生の大転機でございますな?」

と私は万年筆を動かして迫った。松本老人の話をしていたのでは果しがない。

「ひどいことを書くなよ」

「違いましたか?」

「いや、それに相違はないけれど、何とかもっと婉曲にやって貰いたいな」

「しかし社長」

「何だ?」

「成功伝は出発点が低いほど受けるものでございます」

「はゝあ」

「橋際の乞食から大会社の社長へというような幅のある題目が殊に喜ばれます」