Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme
「気になさらないでください。どうしてでしょうかね、つい、こんな口調になってしまうのです。……眼が見えなくなったという事実にたいしては、すこしも遺憾はないのですが、日常の直接なことにあまり不便が多すぎるので、じぶんで始末がつかなくなってしまうのです」
キャラコさんは、だまって佐伯氏の顔をながめていた。それにしても、あの茜さんというひとがなぜもっと佐伯氏をいたわってあげないのだろうと考えていた。散歩についてくることもなければ、廊下などで手をひいてやるところも見たことがない。いつも、ひとりで放っておく。いったいどうしたというのだろう。盲目の兄と一緒にいるところをひとに見られるのを嫌がっているようにもみえる。もし、そうなら、すこしひどすぎるようだ。それも、戦争で失明されたのだというのに。
キャラコさんは、すこし腹が立ってきた。……しかし、なにか事情のあることか知れないし、自分が差し出るような性質のことではないので、そのことには触れなかった。
佐伯氏は、しばらく黙り込んでいたが、ふいにキャラコさんのほうへ顔を向けると、
「それにしても、あなたは、いったい、どういう方なのですか、お嬢さん?……声のようすだとたぶん、十九ぐらい……」