Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme
キャラコさんが、笑いだす。
「当りましたわ。……あたし、十九よ」
「ずっと、ここにおいでなのですか」
「ちょうど、半月になりますわ」
「失礼ですが、どなたと?」
「あたし、ひとり」
佐伯氏は、驚いたように、ほう、といって、
「どこかお悪いの?」
キャラコさんが、すこし、あかい顔をする。
「いいえ、ただ、こんなふうにしていますの。……妙でしょう。あたしも、妙でしょうがないのよ。あたしのような若い娘が、たったひとりでこんなところにブラブラしているなんて、あまりほめた話でありませんけど、すこしわけがあって、もうすこしの間こんなことをしていなくてはならないの。でも、そのわけは申しあげられませんわ」
佐伯氏が、つぶやくような声でいった。
「だれにだって、事情はあるもんだから……」
「でもね、あたし、悪い人間でないことだけはたしかよ」
キャラコさんがそういうと、佐伯氏は、低い声で笑いだした。
「誰がそんなふうに思うもんですか。それどころか、あなたのような親切なお嬢さんに逢ったのははじめてです」
「おや、どうしてでしょう」
「いえ、ちゃんと知ってますよ。……私があんなひどいことをいったのに、それにもかかわらず、あなたは心配して、とうとう宿の入口まで送ってくださいましたね。