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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

キャラコさんに、父の長六閣下から、手紙で、当分のあいだ、家へ帰ることはまかりならぬと申し渡された。

……当分本名を名乗ることはならぬ。名前をいう必要がある時はキャラコとだけいいなさい。それから、当分の間、いっさい新聞雑誌を読んではならぬ。友人のところへ手紙を出してはならぬ。右、命令す。

父

ならぬ、ならぬ、ならぬ、――長六閣下の濶達な文字は、ひとつひとつ八字髯をはやし、キッと口を結んでキャラコさんをにらみつけていた。

青天のへきれきである。どういう理由でこんな眼に逢わなければならないのか、いくら考えても思いあたることはなかった。

二三日たってから、キャラコさんが当惑しているだろうと察して、秋作氏がくわしい便りをよこしてくれた。

キャラコさんは何も知らなかったが、そのころ、東京ではたいへんな騒ぎがもちあがっていたのである。キャラコさんの居どころをつきとめようとして、東京中の新聞社の自動車が社旗をヒラヒラさせながら狂気のように走り廻っていた。

ひところは、世界の謎とまでいわれた失踪の千万長者、山本譲治がとつぜん日本に現われ、今年十九歳になる一少女を千二百万弗(四千万円)の財産相続人に選んだ。