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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

キャラコさんには、それが奥ゆかしく思われた。あまり実感がはげしくて、かるがるしく口に出す気になれないのだろうと思って、戦争のことはなるたけたずねないようにした。

四

キャラコさんは、たったひとつ佐伯氏にたずねたいことがある。佐伯氏の眼が本当に絶望なのかどうかということである。今までいく十度、口さきまで出かかったか知れないが、そんなことにふれてはいけないのだと思って、しんぼうしていたのだった。しかし、今日はどうしても切り出してみようと決心した。

秋作氏の親友で、キャラコさんを本当の妹のようにかあいがってくれる立上氏という若い博士が、ついこのころ、ミュンヘンから帰って来た。

秋作氏は、立上のやつ、独逸から近代眼科学の精髄をかっぱらって来やがったそうだ。と、恐悦しながらキャラコさんに話してきかせた。もし、佐伯氏にその気があるなら、いちどぜひ立上氏に診させたいと思うのである。

キャラコさんが、蘆をわけて疏水のほうへおりてゆくと、いつものところに佐伯氏が待っていて、きょうは、たいへんおそかったと、いった。キャラコさんといっしょにいることだけが、このごろの楽しみになっているふうだった。