Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme
仕事の区切りがついて、ひと息いれるとき、いままで円滑に仕事がはかどっていたのは、キャラコさんが手助けをしていてくれたお蔭だということを知ってびっくりしてしまう。黒江氏が、いう。
「ほほう、またキャラコさんだったんですね」
「ええ、そうよ、あたしですわ。幽霊ではなくてよ」
三枝氏が、感嘆したような声をだす。
「たしかにそれ以上ですよ。……僕は原田がそばにいるのだとばかし思っていた」
山下氏が、生真面目な表情で、うなずいた。
「キャラコさんは、たしかに、研究室の学生よりもうまくやる」
廿分ほど休憩すると、四人は仕事の続きにとりかかる。キャラコさんは、また無言で働きだす。
十一時になると、四人は実験を切りあげて寝床へゆく。
キャラコさんは、みなに、おやすみ、をいってじぶんの寝床のある『食堂』までひきさがると卓の上に立てた薄暗い蝋燭の光の下へノートをひろげて、低い声で、
「……Au……金、……CuFeS2……黄銅鉄、……Ag2S……輝銀鉱……」
と、二時ごろまで、鉱石の成分式の暗記をやっている。
六
気むずかしい顔をした楽しいあけくれが、こんなふうに半月ほどつづいた。