Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
いずれエステル夫人がやって来るだろうという予感がみなの心にあった。たぶんレエヌさんは、エステル夫人のところへうったえに行くだろうし、そうなれば、夫人が黙って放っておくわけはない。果してだった。エステル夫人は、入口のところに立って、ごうじょうな気性をそのままに現わして、男のように腕組みをしながら、ジロジロとみなの顔をながめわたしている。だいぶ風向きが悪いらしい。
エステル夫人は、感情を無理におさえつけているような声で、
「いったい、どうしたの?」
と、切り出す。たれも返事をしない。結局、アマンドさんが、太刀うちを引き受ける。
「何がどうしたというんだね」
たいへんおだやかに、こういう。アマンドさんの受け方はなかなか堂にいっている。長年のうちに、悍馬のようなエステル夫人をなだめるコツをすっかり会得してしまったらしい。
「そんなところに立っていないで、お前も仲間へはいりなさい。いま迎えにやろうと思っていたところなんだ」
エステル夫人が、はねかえす。
「よしてください、とぼけるのは。……ねえ、いったいどうしたの? どうしてレエヌをあんな目にあわせるんです。レエヌはわたしの部屋で泣いていますよ」