Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.122 Zeichen · 29 Bildschirme
絵の上手なトクさんも、陽気なピロちゃんも、男の子の鮎子さんも、誰も彼も、あわてふためいて、御飯をかっこんでいる。
お味噌汁は熱くてすぐ飲めないから、早く冷めるようにお椀に盛ったまま、ずらりと窓際に並べておく。御飯をかっこんだら、出がけに、立ったままで、ぐいと一息にやるつもりなのである。
誰もものをいわない。鮎子さんだけは、みんなのように早くかっ込めないので、肚を立てて何かひとりでぶつぶついっていたが、いよいよ置いてゆかれそうになったので、御飯に水をかけてひっかき廻す。ピロちゃんもまねしてやり出す。誰も彼も大あわてだ。
いったい、何を泡喰っているというんです? あわてずにはいられない。海が逃げてゆく。
絵の上手なトクさんが、
「一ィ」
と、いって、立ちあがる。窓際へ駆けて行って、味噌汁をひと息に飲みほす。
「はい、すみました。……鮎子さんも、ピロちゃんも、芳衛さんも、いつまで食べてるの? いやァね」
男の子の鮎子さんが、口惜しがって、茶碗の底に御飯をのこしたまま、
「二ィ」
と、立ちあがる。
芳衛さんが、すぐ、それを見つける。
「ずるいぞ。……卑劣ですよ、あなた」