Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.277 Zeichen · 21 Bildschirme
キャラコさんは、へどもどして、
「いいえ、そんなことはありませんわ。いつまででもつないでおいてちょうだい」
老人は、それこそ、橋がかりへ出て来た高砂の尉のようなおっとりしたしかたで小腰をかがめて、
「そんならば、ちょっとの間、ここへ置かせていただきますでござります」
と、いって、またゆっくりと秣槽を取りおろしにかかる。つぎ穂がなくなりそうなので、キャラコさんは、あわててでまかせなお愛想をいう。
「おじいさん、ずいぶん立派な馬ですね。……それに、利口そうな顔をしてますわ」
老人は、皺だらけの顔を笑みくずして腰をのばすと、可愛くてたまらないというふうに、馬のほうへ流眄をつかいながら、
「……こんな片輪ものですけに、立派ということはござりませんがな、気のいいことにおいては、けして、ほかの馬にひけをとらんのであります」
「それに、元気そうですわ」
「いやはや、わし同様、すっかり老いぼれてしまいまして、はやもう、なんの芸もないのでござります」
「そんなに謙遜なさらなくてもだいじょうぶよ。だれが見たって感心するにきまってますわ。うちにも一匹おりますけど、とても、この馬とはくらべものになりませんの」