Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.012 Zeichen · 48 Bildschirme
きっとまた興にのって、どこかですべっているのよ。お名残りに笠山まで行こうかなあ、なんていってたから」
ピロちゃんは、
「ふうん、そうなのか、ふうん」
と、納得しないような顔つきをしていたが、急にやかましくハーモニカを吹きだした。
トクさんは、とうとう怒って、
「ピロちゃん、うるさいわよ。勉強してるんじゃないの」
と、きめつけると、ピロちゃんは、
「うへえ、大した勉強だな。みんな鼻の頭ばかりなでているじゃないか」
と、やりかえしておいて、ハーモニカを吹きながら二階へあがって行ってしまった。
キャラコさんは、揺椅子にかけて、愉快そうに笑いながら編物をしていたが、心の中はなかなかそれどころではなかった。すこし、気になることがあるのである。
ふだんは、すこしにぎやかすぎるくらいで、独りでいることの嫌いな梓さんが、チャーミングさんがお茶に来た次の日あたりから急にものをいわなくなり、広間の隅や寝室の窓のそばでぼんやりと坐っていることが多くなった。熱のある子供のようなうっとりとした眼つきをし、なにかたずねると、とんちんかんな返事ばかりした。
寝床へ入ってから、あまり静かなので、眠っているのかと思って薄眼をあけてうかがうと、梓さんは、闇のなかで大きな眼をあけて、瞬きもせずに天井をみつめていた。