Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.012 Zeichen · 48 Bildschirme
キャラコさんの案内で広間へ入って来たチャーミングさんをひと眼見ると、森川夫人はたちまち蝋のように真っ白くなり、よろめくように椅子から立ちあがった。
五
チャーミングさんは、森川夫人の妹の房枝さんが、外務参事官のお父さんと巴里に住んでいたころの愛人だった。
チャーミングさんはそのころから画の勉強をしていて、二三の画商に才能を認められていたが、画かきというよりはむしろ詩人といったほうがいいような極端な夢想家で、仕事をするよりは寝ころんで夢を見ている時間のほうが多かった。ひどい移り気で、何かにひどく熱中するかと思うと、すぐ飽きて、次の日になると瘧でも落ちたように見向きもしなくなる。熱烈で慇懃で聡明で執拗で冷酷で、……要するに、生まれながらあらゆる悪魔的なものを身につけたような男だった。
房枝さんは、そのころ二十歳になったばかりの心のやさしい娘だったが、わずか半年ほど楽しい日を味わっただけで、古い上靴のようにあっさりと捨てられてしまった。薄情な愛人の心をひきとめようとして、若い娘が考えつく限りのことをしたが、結局、つらい思いをしてあきらめるほかなかった。