Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ココナットのみ

ココナットの実

夢野 久作

Lesen Sie ココナットの実 (ココナットのみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.448 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども達者な者には伝染しないって本に書いてあるじゃないの。妾その本を読んだから、あんたが無性に好きになったのよ。あんたが肺病でなけあ、妾こんなに可愛がりやしないわ。妾はあんたが呉れた赤い表紙の本を読んでいるうちに、あんた以上の共産主義になっちゃったのよ。……あんたが妾にサクシュされて、どんな風にガラン胴になって、ドンナ風に血を吐いて死んで行くか、見たくって見たくってたまんなくなったのよ。だからこんなに一生懸命になって可愛がって上げるのよ」

妾がこう云って笑った時の狼の顔ったらなかった。蒼白く並んだ肋骨を、鬼火のように波打たして、おびえ切ったウツロ眼から泪をポトリポトリと落しはじめた。泣くような……笑うような皺を顔中に引き釣らして泪の流れを歪みうねらせた。……と思うと不意に妾の両脚の間の、真白なリンネルの上に、骨だらけの身体を投げ伏せて、両手をピッタリと顔に押し当てた。

妾はハッとして起き直った。血を吐くのじゃないかしらんと思った。そのモジャモジャと乱れ重なった髪毛の下を、ドキドキしながら見守っていた。しかし、そうじゃないらしい事が間もなくわかったので、妾はガッカリしてしまった。