Japanische Klassiker mit Furigana
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ズラかったしんきち
ズラかった信吉
宮本 百合子
Lesen Sie ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.656 Zeichen · 110 Bildschirme
信吉のような平人夫は日給二円。一人前の仲仕が二円八十銭位とった。金は、いきなり事務所の会計では渡さず親分のハンコがいった。山でいるだけの小遣いは露貨で貰って、残りは日本の金で宅渡しだ。
××林業が現場を開いた年から毎年出稼ぎに来ているという源が、或る日バラックで腹掛のドンブリから受けとって来た金を出しながら、
「畜生、なめてやがんな。ルーブリをいつだって六十五銭よりやすかあ換算しやがらねえ。手前たちの税なんか、どんなルーブリで払ってやがるか知れやしねえのに……」
と云った。信吉には初耳だ。
「相場あ、違うのけ?」
「ルーブリはお前、国定相場と暗黒相場ってえのと二通りあるんだ。国定で行きゃあ一ルーブリは一円がちょいと足を出すのよ。ところが、国法で、ソヴェトは金を国外へ持ち出すことを許さねえ。そこでチャンコロが密輸入で儲けたルーブリをみんなロシアの国境で投げ売りする。奴等あちゃんと人を使ってそいつを片っぱしから買わせてやがるんだ。ソヴェトへ払う税や、お前、労働者に払う金は、図々しくそういうルーブリでゴチャマカしてやがるから、会社あ肥るんだ。ソヴェト対手の利権会社あみんなその手をつかってるのよ」