Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ズラかったしんきち
ズラかった信吉
宮本 百合子
Lesen Sie ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.656 Zeichen · 110 Bildschirme
「ひとりか?」
「――みんな先へ行っちゃった!」
火のついたまんまの吸殻を河へ投り、アクリーナは、
「ああくたびれた」
肩を信吉の胸へもたせかけるようにして、小さい白粉入れをとり出した。蓋についた鏡をのぞきこんで脱脂綿の切れっぱじで鼻の白粉を直しながら、
「……お前の国にもこんな大きい河ある!」
「ある」
「公園あるかい?」
「あるさ」
「フーム。……ね、きかしとくれ」
パチンと白粉入れをフタしながら急に勢こんでアクリーナがきいた。
「お前の国の女、奇麗かい?」
「奇麗なのも、きれいでないのもいらあ」
「……お前、何足絹の靴下もって来た?」
「絹の靴下?」
ルバーシカ一枚の胸へぴったり若い女の体をくっつけられ少なからず堅くなりながら正面向いて返事していた信吉は、アクリーナの顔を見直した。
「何だね……絹靴下って……わかんねえよ俺にゃ」
「狡い奴!」
クスリと笑って横目で睨みながら肩で信吉の胸を小突いた。
「支那の男みんな真珠の頸飾だの靴下だの持ち込んでるじゃないのサ」
「そりゃ支那人のこった。俺ら知らねえよ。俺ら日本から来たんだ」
「どっちだっておんなじさ。――お前んところに勿論あるのさ……フフフ」