Japanische Klassiker mit Furigana
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デパートのこうけいり
デパートの絞刑吏
大阪 圭吉
Lesen Sie デパートの絞刑吏 (デパートのこうけいり) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.242 Zeichen · 23 Bildschirme
人違いですよ。犯人はバルーンです。この軽気球です。ほら、これを御覧なさい」
喬介が、瓦斯注入口の金具、弁、新しく発見された首飾の三点に、先程の「灰色粉」を振り掛けて刷毛で払うと、三点共に同じ様な幾つかの指紋が、見る見る検出されて来た。
「御覧なさい。この人の指紋ではないでしょう?」
「ふーむ。確かに被害者野口達市の指紋だ」
司法主任はまるで狐につままれた態だ。喬介は私の方を振向いた。
「君。済まないがね。中央気象台へ電話を掛けて、昨晩の東京地方の気象を問い合せて下さい」
喬介の命ずるままに六階へ降りた私は、其処の電話室で任務を済ますと、結果をノートへ記入して再び屋上へ帰って来た。喬介は、私の渡したノートを受け取ると、
「いや、有難う。753粍の低気圧と西南の強風か。さあ、もう用事は済みましたからバルーンを揚げて下さい。さて、これから結論の説明に移りましょう」
言い終ると喬介は、上昇して行く広告気球を見上げながら煙草に火を点け、静かに口を切った。
「私は先ず、第一に、犯人は宿直員以外の強力な男である事、――この場合戸締りが厳重であった事を考慮に入れて置く――。