Japanische Klassiker mit Furigana
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トコヨゴヨミ
トコヨゴヨミ
田山 花袋
Lesen Sie トコヨゴヨミ von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.449 Zeichen · 38 Bildschirme
留守に彼方から来たよ。いくらでも何うかして呉れって……。」
「そうか。」
勇吉はこう言ったきりで、草鞋をぬいで上に上った。腹は減っているけれど、飯を食う気にはなれなかった。粟と麦とを雑ぜた雑炊――それすら今年から来年にかけての材料を持っていないということが、一番先に勇吉の胸につかえた。勇吉は母親の背に負われてにこりともせずに痩せていじけている女の兒を不愉快な心持で見た。
古い煤けた箪笥、ブリキ落しの安火鉢、半分壊れかけた炭取りなどが其処に置いてあった。壁に張ったトルストイの肖像は黒く煤けて見えていた。勇吉は暖炉の前に坐って後頭部に両手を組合せて、やがて来る寒い冬を想像した。雪、雪、雪、恐ろしい雪がすぐ眼の前に迫っていた。「こうしちゃいられない。」勇吉はいても立ってもいられないような気がした。
「御飯は?」
「今、食う……。」
こう言ったが、勇吉は夢中で膳に向かって二三杯暖いのをかき込んだ。で、いくらか元気が出て来た。「まア考えよう。」こう思って、蒲団を引ずり出して、古い汚い衿に顔を埋めたが、疲れているので、いつとなくぐっすり寝込んで了った。
勇吉は一日、二日全く考え込んで暮した。