Japanische Klassiker mit Furigana
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トムきちとほうせき
トム吉と宝石
小川 未明
Lesen Sie トム吉と宝石 (トムきちとほうせき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.254 Zeichen · 9 Bildschirme
」
と、娘は、いまの不自由をしていることまで、物語りました。
トム吉は、だまって、娘さんのいうことをきいていましたが、
「じゃ、弟さんがご病気で、この大事になさっている指輪をお売りなさるというのですか。」
と、たずねました。
娘は、かなしそうに、目にいっぱい涙を浮かべながら、うなずきました。
「いや、まことにけっこうな石です。」
といって、トム吉は、真物の相場どおりに高値で買ったのでした。
娘は、いい値に指輪が売れたので、たいそうよろこんで、これもお母さんのおかげだと思って、はやく弟の治療をするために立ち去りました。ちょうど、それと入れちがいに、主人がもどってきました。
トム吉は、主人の顔を見ると、
「こんな性のいいルビーが出ました。」
といって、娘から買った指輪を見せたのであります。主人は、眼鏡をかけて見ていましたが、
「なるほど、珍しい、たいした代物だな。」と、微笑みながら、
「これを、いくらで買ったか。」と、たずねました。
いつも、こうした取引にかけては、万事、自分を見まねていて、ぬけめがないとは思いましたが、念のためにきいたのでした。
しかし、トム吉が、真物どおりの相場で、正直に買ったと知ると、たちまち、主人の顔は不機嫌に変わって、怒り出しました。