Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
それ程の研究価値と魅力とをこの絵巻物が持っている事を、Wはどこまでも信じて疑わなかったのだ。
……けれども……けれども……Mはそれでも尚、どれくらい深刻な煩悶をその以後に重ねた事か。学術のために良心を犠牲にして、罪も報もない可憐の一少年が、生きながら魂を引き抜かれて行くのを正視する……その生きた死骸を自分の手にかけて検査する……そうしてその結果を手柄顔に公表する……という決心がドレ位つき難い事を思い知ったか。彼が大学卒業後の十数年間に於ける死物狂いの研究は、こうした良心の苛責を忘れたいという一念からではなかったか……自分が死刑立会人である苦痛を忘れるために、一心不乱に断頭刃を磨くのと同じ悲惨な心理のあらわれではなかったか。そうして彼の学術研究……断頭刃磨ぎを断然打切るべく、彼が母校に提出した学位論文の根本主張は、何であったか……曰く……『脳髄は物を考える処に非ず……』」
「……………」
「……かくしてMの個人としての煩悶は遂に、学術の研究慾に負けた。全世界に亘る『狂人の暗黒時代』と、その中に蔓延する『キチガイ地獄』を、自分の学説の力で打ち破るべく、何もかも打ち忘れて盲進する当初の意気組を回復した。