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Japanische Klassiker mit Furigana

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ドミノのおつげ

ドミノのお告げ

久坂 葉子

Lesen Sie ドミノのお告げ (ドミノのおつげ) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.713 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

或る日。――

足音をしのばせて私は玄関から自分の居間にはいり、いそいで洋服をきかえると父の寝ている部屋の襖をあけました。うすぐらいスタンドのあかりを枕許によせつけて、父はそこで喘いでおります。持病の喘息が、今日のような、じめじめした日には必ずおこるのです。秋になったというのに今年はからりと晴れた日はまだ一日もなく、陰気な、うすら寒い、それで肌に何かねばりつくような日がつづいていました。

「ただいま帰りました。おそくなりまして。いかがでございますか……」

父は黙って私の顔をみつめております。私は父のその眼つきを幾度もうけて馴れておりますものの、やはりそのたびに恐れ入る、という気持になって、丁寧に頭をさげます。そして、ぎごちなく後ずさりをして部屋を出ました。

つめたい御飯がお櫃の片側にほんのひとかたまり。それに大根の煮たのが、もう赤茶けてしるけもなくお皿にのっております。土びんには、これもまたつめたい川柳のお茶がのこりすくなくはいっております。私はいそいでお茶漬けにして食事を済ませました。胃のなかに、かなしいほどつめたいものが大いそぎでおちこんで行った、という感じがします。