Japanische Klassiker mit Furigana
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ドミノのおつげ
ドミノのお告げ
久坂 葉子
Lesen Sie ドミノのお告げ (ドミノのおつげ) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.713 Zeichen · 42 Bildschirme
夏のこととは、野球場でアイスキャンデーをうりあるくとはりきって、いよいよそのアルバイトの初めの日、いさんで西宮へ出かけた信二郎は、からのキャンデー箱を肩からつって二三歩あるいたなりもう動けなかったという話であります。
「それみろ」と父は申しました。信二郎は今年新制大学にはいりました。一人前に角帽をかぶっているのに、末子で、いつまでたっても一人でどんどん事をはこぶことが出来ません。
「母様にはときふせてあげましょう。父様は金城鉄壁、大の難物だけれど何とかなるでしょう」
「ダンケ。頼むよ」
父が嗅薬を用いたとみえて、きなくさい臭いが家内中にただよいました。それから私は信二郎と二人で、さいころを始めました。私が勝てば元々で、弟が勝てば先刻の煙草一本まきあげられるのです。私は何のことはない、損なことですけれど、つまりさいころを転がすこと自体が面白いのです。
あくる日――
私は兄の見舞に病院へ行きました。たった一人の兄は信一といって大学に通っておりましたが、戦争中の無理が原因となって一昨年の夏、肺結核のため入院したのでした。要心深い細心な人ですから、入院して以来、一歩も外へ出ずにじっと養生しているのでしたけれど、この病気は簡単にはなおらず今も気胸をつづけて入院しているのでした。