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Japanische Klassiker mit Furigana

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ニッケルのぶんちん

ニッケルの文鎮

甲賀 三郎

Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

ええ、お話しするわ、あたしどうせお喋りだわ。だけど、あんたほんとに誰にも話さないで頂戴。だってあたし、あの人に悪いんですもの。

もう一年になるわね。去年のちょうど今頃、そうセルがそろそろ膚寒くなってコレラ騒ぎが大分下火になった時分よ。去年といえば、随分嫌な年で、新聞には毎日のように、自殺だの人殺しだの発狂だのって、薄気味の悪い事ばかし、それにあんた知ってるでしょう。妙な泥坊の事、ね、そら希代に大きな宅ばかり狙って、どこから入ってどこから出たのやらちっとも分からないのに、いつの間にか金目のものがなくなっていたり、用心すればする程面白がって、思いがけない方法で忍び込んだりして、どこからでも入るからまるでラジオの様だというので、新聞に無電小僧なんて書かれて随分騒ぎだったでしょう。それにとうとうしまいには御恩になった先生があの死に様でしょう。あたしほんとに悲観しちゃったわ。

無電小僧といえば、あんたあの話知ってる? 去年の春だったか牛込のある邸の郵便受けの中に銀行の通帳と印形が入れてあって、昔借り放しにしていたのをお返しするって丁寧な添え手紙がしてあったという話。