Japanische Klassiker mit Furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme
それで、かねて古田の手から奪い取った彼の翻訳の原稿の切れ端を、手早く書物の間に挟んで、それを証拠に古田の来た事をいいたてたのですが、検事始め余人は騙せましたが、たちまち木村君に看破られたらしいのです。私はもういけないと思いました。先生の仕掛けに気がついて天井裏に潜り込んだ時に、予期した通り最後の研究の原稿は見つかりましたが運び出す事が出来ません。多分診察所の窓を開けて置いた事も、木村君は気付いているだろうと思って先手を打ったのでしたが、思えば危ない事でした。
とにかくこうして先生の原稿の頭と尻尾は手に入ったのですが、胴中を思いがけなく古田の手から、木村君にしてやられました。木村君がお互いに国の為でもあり、先生の為でもあり、一つにして陸軍省へ出そうじゃないか。その代わり、君の事も確たる証拠は何一つないのだから、何にもいわぬというので、私も潔く原稿を差し出しました。
紅茶のご馳走どうも有り難う。あれは私には幸いでもあり、不幸でもありました。それからいつか貰った写真ね。あれは私の身許が分かっては、あんたも嫌でしょうからお返しします』
返さなくたってよいのに、私思わず声を出していったわ。