Japanische Klassiker mit Furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme
で仕方がなかったわ。
あの晩ね。宵の内に内野さんと下村さんの二人でそりゃ大議論をしたのよ。先生は書斎でいつも通りご勉強でしょう。あたしお次室に坐っていると、書生部屋で二人が大声でいい争っているのがよく聞こえるのでしょう。あたし喧嘩になりやしないかと思って心配して、止めに行こうかと思っているうちに、先生がお呼びでしょう。ハーイってお部屋へゆくと、下村と内野を呼んで来いってんでしょう。あたしきっと叱られるんだろうと思ってヒヤリとしたわ。二人が入ってしまうと、あたし次室で聞き耳を立てて居たんだけれども、大分しんみりした話と見えて、ちっとも聞こえないの。そのうちにお手が鳴って紅茶を持っておいでというのでしょう。様子を見ると叱られている風でもないので、あたし安心したわ。
紅茶を上げてから、そう十一時頃でしょう。二人は書生部屋へ帰って寝ちゃったの。先生はまだご研究に起きていらしったようでしたが、もう寝てもよいとおっしゃったので、部屋へ下がって寝たのよ。あたしウトウトとして、フト眼を覚ますと、書斎の方で何だか変な物音がするのよ。先生がまだ起きていらっしゃるのだろうと思って、寝返りを打とうと思って、廊下の方を見ると真っ暗でしょう。