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Japanische Klassiker mit Furigana

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ニッケルのぶんちん

ニッケルの文鎮

甲賀 三郎

Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

書斎に灯がついていれば、それが差して、障子が白く闇に浮かぶはずなんですもの。ハッと思うと、眼がすっかり覚めてしまったの。念のため手探りで障子を開けて見ると真っ暗でしょう。その途端に確かに書斎から人の出て来るような気配がしたの。あたし震え上がっちゃったわ。床の中へ潜り込んで蒲団を被っていたの。しばらくすると辺りはしーんとして、もう物音も何も聞こえないでしょう。あたし恐々起きて、電灯を点けて見たの。それからまたしばらく息を凝らしていたけれども別に何の変わった事もないので、少し元気が出て来て、廊下伝いに書生部屋へ出て、廊下の外から、下村さん内野さんと呼んだの。二人とも平常はそりゃ目覚いんだけれども、その時に限ってグウグウ鼾を掻いているので、とても駄目だと思って、部屋へ帰って寝てしまったの。とても書斎の方へ行く元気はなかったわ。

なかなか寝つかれなくて、それでも明け方にトロトロとしたでしょう。外が少し白んで来たと思うともう起き上がって、気になっていたもんだから先生のお寝みになる部屋を第一番に覗いて見ると、前の晩にあたしが取って置いた通り、床がチャンとして、先生のお休みになった様子がないじゃありませんか。