Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.878 Zeichen · 26 Bildschirme
二、花鉢とおでこの喰合せは一命に関わる。
灰色の薄琥珀の室内服を寛かに着こなし、いささか熟し過ぎたる橙のごとき頬の色をしているのは、室内の温気に上気したためであろうと見受けられた。
「あと何秒ですか?」
「あとまだ二十分よ! 男のくせにそんなみっともない声を出すのはよしたまえ。ほら、君の鼻の頭なんか、さっきよりずっと血色がよくなったよ」
「もう太陽が沈みました。それに雪が降って来ました」
「雪がなんですか! あの元気な雀にすこし見習いたまえ」
「すみませんでした。でもネ、雀はあんな毛布を着ているが、僕はこの通り半裸体なもんですから……」
「じゃ、毛布をあげますから、もう十五分辛棒していたまえ、いいわね」と、いい捨てたまま、扉は閉ざされて、如原。
二、花鉢とおでこの喰合せは一命に関わる。さて、「美しき島」事件で身心耗弱したコン吉が、懐かしい巴里の古巣に帰り着いたのちも、相も変らず、食糧の買い出しから風呂場の修繕、衣裳の塵払い、合唱のお相伴、玄関番との口論の調停、物もらいとの応待、蓄音器のゼンマイ巻き、小鳥に対する餌の配給、通信事務の遂行、と、丁稚輩下のごとく追い使われ、相勤めまする一日十余時間、休みもくれぬ苛酷い賦役。