Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.011 Zeichen · 23 Bildschirme
「あら! お化けが出て来たの。耳よりな話ね、今晩はあたしにも見せてね」と勇み立つ。コン吉はうらめしそうにタヌの顔を見ながら、
「見せるも見せないも、僕が傭って来たわけでないから、見るのはご自由だが、僕はもう幽霊の礼奏なんか沢山だ。なにしろ昨夜の幽霊などは下っ端の方はだいぶ燃えたような様子だから、今晩は多分腰から上だけで出てくるつもりなんだろう。いやもう思っただけでもぞっとする」
「油紙でもあるまいし、どこの世界に燃えあがる幽霊なんかあるもんですか。貉かなんかの悪戯に違いないのよ。今晩また出て来たら鉄砲を撃っておどかしてやりましょう。もし手答えがなかったら、それは幽霊に違いないのだから、引きあげるならそれからでも遅くないよ」
さて、物置きに投げ込んであった喇叭銃に煙硝と鹿撃ちのばら玉をあふれるばかり詰め込み、藁をたたいて詰めをし、窓の隙間から筒口を出して昨夜幽霊が退場した雑木林の入口に見当をつけ、半焼の幽霊いまに目にものを見せてくれようと待っているうちに、おいおいと夜もふけ渡り、幽霊出現の定刻となると、青白い月の光の中に浮び出たものは幽霊にはあらでたくましい一匹の虎。