Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.357 Zeichen · 27 Bildschirme
ご両所はどういう御用件で」と、たずねた。
「僕たちはですね、一口に申しますと牛の学者なんです。世界中の有名な荒牛を拝見して、そのですね戸籍謄本を作って和蘭の王様に献上しようと思っているんです。それについてはですね、あなたのところの『ヘルキュレス』君を拝見しないことにはお話にもなにもなりませんですからね、それでこうして、第一番序の口にあがったというような次第なんです」と、廻らぬ舌を必死に操りながらこれだけいうと、タヌもそばから、
「でございますから、実物を拝見させていただきまして、できるなら逸話とか出世美談、それから、できますなら、『ヘルキュレス』君の長所短所、そんなところまでうかがわしていただきますと、有難いんですわ。本ができましたら、無代で十冊でも二十冊でも進呈いたしますわ。もしなんでしたら、あなたのお写真なんかも巻頭にかかげたいと思っておりますの。ねえ、いかがですか」
「いやわかりましたじゃ。つまらぬ評判はもうお聞きおよびのことでしょうから、ひとつ、小話になるような逸話を申し上げますじゃ。なんでも一歳二ヵ月の春でごわした。ある日、わしの荘園におった闘牛師の仕出しが喰らい酔いよって、何を思ったか細身をぬいてそこらじゅう刺し廻る、ピストルをぶっ放す、どうも危なくて近寄れません。