Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.357 Zeichen · 27 Bildschirme
キャヌビエールの船着場から、烏街の方へ入った一軒の乾物屋の店先に、楕円形の黒いすべすべしたものが山のように積まれてあった。これはちょうど、いま南洋から到着したばかりのココアの実なんだ。
するとここへ、牛を連れた三人の男女が通り合わした。一人は粗毛の帽子をかぶり、赤、黄で刺繍をした上衣を着、珈琲色の薄い唇の上に見事な口髯をたくわえた、――つまり、疑いもなくコルシカの山地の人間だということは、その腰にぶっそうな匕首を帯びているのでもわかる。
他の二人は東洋人と見受けられるが、チュニスとかモールとかそういう類ではない。もう少し遠方の人種であるというのは、このへんでは、そうざらに見掛けない顔立ちだからである。男の方は一見、十五六歳だが、地味な襟飾りなどをしているところを見ると二十五六歳にも見える。またしかつめらしく眉をひそめたりすると三十五六歳ぐらいに、時には五十歳ぐらいにも見えるのである。女子の方は十七八歳で、これは人種などというものから少し超越しているというのは、しゃくれた顎と低い鼻を持ち、波止場に落ちた石炭のような漆黒な眼を持っていて、これらの印象が、穴熊だとか狸だとかというものを連想させるからだ。