Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.682 Zeichen · 27 Bildschirme
わたくスは植物の方は一向経験がありませんでスから「ぐるぐる山登り」の手伝いをしたこともあるから、ひとつアルプスへ行って山案内にでもなろうかア、と思いまして、こちの方へご厄介になりに来たような次第でございまス。早速でスが、わたくスの名案をぶちまけまスと、ま、こういうわけでございまス。……まず羚羊を三匹とっつかめえまス。けれど、それは羚羊といってもただの羚羊と訳が違いまス。なるたけ親子夫婦の情合いの深そうなのを撰ぶんでございまス。生れ立ての羚羊、亭主の羚羊、それから嬶の羚羊とこう三匹つかめえましたならば、まず餓鬼の羚羊をモン・ブランのてっぺんへ持って行ってくくりつけておく。そこで亭主の羚羊の方は先生さま、嬶の羚羊はお嬢さまが手綱をつけて『大平場』の下まで引っぱって来るんでございまス。すると、これはしたり! モン・ブランのてっぺんでは手前らの大切な忰が悲しそうに『父ちゃんや、母あちゃんや』とないてるもんだから、びっくり仰天して角の先まで熱くなって、小供可愛いさの一念から崖道、絶壁の頓着なく、捨二無二に押し登る。『おお、おお、坊や、坊や、お父ちゃんもお母ちゃんも来ましたよ。