Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.682 Zeichen · 27 Bildschirme
よウく耳の穴をカッぽじって聞いチくんねエ。……入用なものてえのは、潜水具二着と、送風ポンプが一つありゃあそれですみさ。わけのねエ話ヨ。……いいかねいってエ、海に沈むときにゃア、知ってもいようが、身体が浮かねえように、ってんで、十キロもある鉛錘ってのを胸へさげるんだ。ところでだ。山へ登るにゃア、そんならば反対に浮袋をつけたらいいだろうてンだ。まず、おめえサン方は海へもぐる時と同じように、潜水着を着てしっかり甲をかぶる。するてえと、あっしらは送気ポンプでもって、空気の代りに水素瓦斯を送ろうッてんだ。そこでサ、おめえサン方は、性のいいゴム鞠のようにふくれあがって、岩壁のすぐそばを足で舵をとりながら、つかず離れず、って工合に、そろそろゆっくりと登って行くんだ。そイデ、無事に頂上へ着いて一服したら、どうか信号綱をきつウく三度引っぱってくんねエ。すると下じゃその合図で、そろそろと瓦斯を抜くから、おめえサン方は、御用済みになった観測軽気球みてえに、斜めになって頭を振りながら、御帰還あそばすッてことになるんだア。ねえ、お嬢さん、オレァ、金なんざどうでもいいや。ぜひひとつやっチくんねえ。