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Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.682 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

この間の帯のような細長い谷底がシャモニイの町。

山の町と一口にいっても、ここは世界に著名るアルプス山麓の大遊楽境、宏壮優雅な旅館・旗亭が甍をならべ、流行品店、高等衣裳店、昼夜銀行に電気射撃、賭博館や劇場やと、至れり尽せりの近代設備が櫛比して、誠に目を驚かすばかりの殷賑、昼は犬を連れて氷河のそばで five o'clock tea、ホテルの給仕に小蒲団を持たせてブウシエの森でお仮睡。夜は MAJESTIC-PALACE の広間に翻る孔雀服の裳裾、賭博館の窓からは、(賭けたり、賭けたり)という玉廻し役の懸け声もきかれようという。右行左行するものは遊子粋客にあらざれば、偽装いかめしい氷海の見物客ばかり、かいがいしい登山者は町はずれででもなければ見当らない。

そのシャモニイの町の、停車場に近い英国教会の墓地から、飄々と立ち現われて来たのはタヌキ嬢ならびに狐のコン吉の二人連れ。なにやら浮かぬ顔をしてしきりに爪を噛んでいたコン吉が、

「いや、なかなかすごいものだね、タヌ君。君、いまの碑銘を読んだかね。(ロバートソンの足の指をここに葬る。残余はタッコンナの氷の下にあり)なんてのは、どうもさんざんな最期だね。