Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme
、第3水準1-90-58)ってぽいと吐き出すという情ない仕方、世が世であれば、帽子掛けへ猫つるしにつるすとか、どこか固いところをコツンと一つやるとか、コン吉はそれくらいに思ってじりじりするのだが、タヌは昨夜からの優しい夢がまだ醒めぬと見え、襤褸っ屑の巣の奥から、眼だけ出した二十日鼠のようなこの子供たちを、世にも愛しいものを見るような眼付きで眺めながら、根気よく無益な会話を続けているのであった。
「君、キャラメル好き?」「ノン」
「おや! では、バナナですか?」「ノン」
「天婦羅などはどうですか?」「ノン」
「パリの絵葉書をあげましょう」「ノン」
「あんたは色鉛筆。あんたはリボン、ね?」「ノン」
「鶯などはどう?」「ノン」
「じゃ、お馬ですか?」「ノン」
「おや、おや! あんたはインクで髯を書いたのですね? これは立派な伍長さんだ」「ノン」
「では、大統領かも知れないな」「ノン」
「ええと、その絵描き、ってのが汽船だけ書いて、ボートを描くのを忘れたものだから、船が港へ着くたびに、船長は陸まで泳いで行かなきゃならない、っていうの。なにしろ、波だってあまり上手く書けていないから、泳ぐにしたって楽じゃない、って。