Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme
……面白いでしょう」「ノン」
「おや! ではお話をよしにして、お医者ごっこをしましょうか? あたしが……」「ノン」
「そいじゃ、これからギニョールの始まりだ。ほら、右手がギニョール、左手がキャヌウズなの。……さあ、始まり、始まり!」
キャヌウズ――ギニョールさん、ギニョールさん。
ギニョール――あたしはおりませんよ。
キャヌウズ――これはしたり。いない貴方が返事をするとは。
ギニョール――したが拙者は出られないのでござる。なぜと申せば、拙者の股引めを鳶がさらってまいったゆえ。
キャヌウズ――でも、ここに、あなたに宛てた書留が一通。
「ノン」
「ははあ。では、前芸はも早これまで。これよりはご馳走の食べっくら。……一番沢山食べたひとには、王様からご褒賞が出るという話」「ノン」
「さあ、さあ、あちらには鵞鳥の焼肉羮とモカのクレエム。小豚に花玉菜、林檎の砂糖煮。それから、いろいろ……」
「ノン」
「じゃ、どうすればお気にいるのですか? いっそ、あたし、あっちへ行っちゃいましょうか?」
「ウイ! ウイ!」
六、八月六日満潮午後三時干潮午前同刻。細い毛脛を風になびかせ、だんだら模様の古風な水浴着を一着におよんだコン吉は、蜘蛛の子のような小さい紅蟹が這い廻る岩の上へ、腰を掛けたり立ち上ったり、まだ明け切らぬ海上を照らす浮き灯台の点滅光をわびし