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Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは、車前草の擂菜でない!」という合唱的叫喚によって撃退された。いろいろとききただして見たところ、この二つがこの島の常食だということが始めて判明したが、この頑迷固陋な小仏蘭西人達は、他のすべての大仏蘭西人達と同じように、容易に日常の主義を変えないことに、はげしい衿持を持っているものと見え、コン吉とタヌが口を酸くし、甘くし、木琴のように舌を鳴らして喰べて見せても、一向に動ずる気色がないばかりか、最後に差し出したヴァニイル入りのクレエムなどは、皿のまま放りあげられ、いたずらに天井の壁に、黄色い花模様を描くにとどまったような次第。

コン吉がこの朝暁に、風邪をひいた縞馬のように、しきりに嚔をしながら、気の早い海水浴を決死の覚悟で企てようとするゆえんは、この島の鳥貝なるものは、一町ほど離れた沖合の小島にのみ群生しているからであって、されば、朝ごと、朝ごと、コン吉は干潮の時間を見計らい、身を切るような冷たい海を泳ぎ渡り、それを採取に出かけるのであった。

一方タヌはといえば、これまた擂菜にするため谷を二つ越え、断崖の危ない桟橋を渡って、はるかなる島蔭の灯台の廻りに生えている車前草を採集に出掛けるのであった。