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Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

のであった。

タヌとはタヌキの略語であって、一口にいえば、その外観がなんとなく狸に似ているという、はなはだ平凡な連想から来ているのだが、この人物は、お天気で、喧嘩早くて、調子を外した歌を真面目な顔をして唄ったり、成年期に達している淑女の分際をも顧みず、寝ているコン吉の顔の上を跨いで通ったり、本業とする天地活写の勉強においても、とかく、静物は動物となり、動物はまた要するに、何が何やらわからないという、はなはだ技術的に飛躍した天稟天才を持ち、そのほか、百貨店の美しい売子の前で、しばしば故意にコン吉に恥辱を与えるとか、日常の買物は、人参の果てから下着の附け紐に到るまで、男子としてはなはだ不本懐な労役にコン吉を従事せしめるとか、――コン吉にとってはとかく腹の立つことばかり。

想えば、快活な避暑地や、華々しい遊覧地も数多くあるものを、何を選り好んで、辺鄙閑散、いたずらに悠長な、このような絶海の一孤島へ到着したかといえば、これまた、端倪すべからざるタヌの主張によったもので、その主張の根源は、ある一日、たまたまセエヌの河岸の古絵葉書屋で、この島の風景を発見したというのに他ならないこと。