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Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

もう、マリアさまのようなあなたさまに、たとえ一日でも二日でも、お預りを願うというのも、ひとえに日ごろの信心のお蔭だと有難涙にくれる次第でございまス。では、お休みなさいませ。

四、五位鷺のプロムナアドは泥鰌の悩み。懇篤重厚なるジェルメエヌ後家の述懐、涙ぐましき苦業の数々。一つとしてこれを聴く人の断腸の種とならぬものはないのだが、とかく漠然たるコン吉の大脳には、ただもううるさいと響くばかり。涯てなき長広舌の末、この島全体の空気に、何やら相応しからぬ艶めかしい匂いを残して、若後家が階下の居間に引きさがったのち、はて、今の話の筋道は一体どんなことであったのか、と首をひねってタヌの様子をうかがうところ、どうやらこれは並々ならぬ災難の前兆、悪運の先駆けと思わざるを得ないというのは、粗い毛織りの服を着たタヌの胸が優しげな溜息をもらし、洞窟の奥の黒曜石のような眼玉が、あらぬ虚空をみつめ、何やら深い物想いに耽っている様子。この溜息こそは、例の端倪すべからざるタヌの空想、即ち災難の前触れ。これは油断のならぬ事になった。急いでそれ相応の防禦の道を講じなくてはなるまいと、コン吉が、まずそれとなく鹿爪らしい咳ばらいをし、さて、おもむろに舌を動かそうとしたとたん。