Japanische Klassiker mit Furigana
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バットクラス
バットクラス
岡本 かの子
Lesen Sie バットクラス von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.432 Zeichen · 13 Bildschirme
給仕は姿勢を取り直してまた夫人の命令を復誦する。
玉子の黄味一つ。茶匙に砂糖一ぱい、ポートワイン三分の一。ブランデイ六分の一。ダッチ・キュウラソオ小グラス一ぱい。
今度給仕が持って来たものをみると成程カフェ・カクテールとはよく名を付けたものだ。これは熱帯国の木の実が焙じられた時、うめき出す濃情な苦渋の色そっくりだ。酒であって珈琲、珈琲であって酒なのだ。夫人は霧の朝の蒼暗い光線にグラスを浸してしばらく錯覚を楽しむ。二つの認識に疲れ飽き他の認識を開拓する勇気を欠いて居る But 階級の人々はこの両者が交感する屈折光線の世界にしばらく楽な新味を貪ろうとする。この錯覚の世界もまた当面に直視するとき立派な事実の認識として価値を新に盛って来るのだが、夫人はそれ程骨を折らない。ただ、イージーゴーイングに感覚がトリックにかかるのを弄ぶだけだ。夫人の興味は直き次に移って犬のドクトルが部屋に呼び付けられた。老人の獣医は毎金曜、狆の歯を磨きに午前中だけ通って来る。今も玄関の側部屋で仕事にかかって居たのだ。
老人が狆の健康状態の報告に入ろうとするのを押えて夫人は云った。