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Japanische Klassiker mit Furigana

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パリのちかろう

パリの地下牢

野上 豊一郎

Lesen Sie パリの地下牢 (パリのちかろう) von 野上 豊一郎 (のがみとよいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.341 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

夫君は処刑され、子供たちとは引き裂かれ、石牢二箇月半の生活は、彼女にとってやるせないものであったに相違ないけれども、持って生れた尊大の気性と贅沢の習慣は、牢の中でも一日平均十五リブラの食料を消費していたと伝えられる。

その頃全パリは暴動化して、市民はすべて気ちがいの如く、悪魔の如くなっていたけれども、個人的には多少の例外もなくはなかった。彼女の付添役を命じられていた守衛のリシャールの如きは規則の許す限りの同情を彼女に寄せていた。ある日、彼女は新鮮な果物を欲しがった。リシャールはひそかに外へ出て、河岸で果物売の女を見つけ、一番良いメロンを買おうとした。果物売の女は守衛の擦りきれた服を見て、そんなにおえらい方の召し上り物ですかと皮肉に聞いた。そうだ。今までは一番えらい方だったが、今ではそうでもない。王妃さまの召し上り物だ。そう答えると、果物売の女はびっくりして、メロンを皆ぶちまけてしまい、お気の毒な方だ。金はいらない。これを皆上げて下さい。といった。

またコンシエルジュリの憲兵の一人は監視中いつも安煙草を吹かす癖があって、一晩中吹かしつづけ、換気のわるい石牢に煙がこもって、マリ・アントワネットが翌る朝青白い顔をしてるのを見ると、すまないことをしたと気づき、パイプを叩きこわしてそれっきり禁煙を誓った。