Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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プウルのかたわらで

プウルの傍で

中島 敦

Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

上は海水着で、下は制服のズボンをつけていた。三造が近づくと、その少年は一寸頭をさげた。

「先輩ですか?」

「ええ」と、答えて、三造は一寸気恥ずかしいものを感じた。

「もう、ウォオタア・ポロの練習もすんだですから、どうぞ、泳がれてもいいです。」

その、ぶきっちょな、何処か兵営での、それに似た言葉遣いが、三造に、彼自身の昔の、この学校での生活の匂をひょいと嗅がせるのであった。彼は返事を口の中でしながら、それでも上着のボタンを外しにかかった。自分の生っ白い、痩せた身体が、その中学生に対して恥ずかしかったので、着物を脱ぐと彼は直ぐに水に飛込んだ。水はなまぬるく、そして意外にも浅かった。彼のせいが丁度立つ位であった。こんな丈の立つ所で、ウォオタア・ポロの練習が出来るのかしらん。彼はそれを言おうと思って、上にいる、さっきの中学生の姿を求めた。少年は、だが、最早居なかった。ラグビイの方でも見に行ったのであろう。三造は水の上にあおむけに寐て浮んだ。彼は深く息を吸った。空は青かった。そろそろ夕方らしい透った藍色が加わって、その隅っこに、黄色く陽に染った小さな雲の一片が浮いていた。