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Japanische Klassiker mit Furigana

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マダムさだやっこ

マダム貞奴

長谷川 時雨

Lesen Sie マダム貞奴 (マダムさだやっこ) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.999 Zeichen · 53 Bildschirme

Aozora Bunko

多分そのおりのことであろう。二人の座員の死んだのをどうする事も出来ぬので、土地の葬儀会社へ万端のことを頼んでおいた。劇場から帰ってきて見ると死者の髯は綺麗に剃られ、顔も美しく化粧され、髪も香水がつけて梳ずられてあり、新しい礼装をさせられて花輪を胸に載せ、柩の中に横たわらせられてあった。昨日まで食を共にし、生死もひとつにと堅い団結を組んできた一行のものは、その死者の姿を見ると、いかにも安易として清げなさまで、昨日までの陋苦しい有様とはあまり違って、立勝って見ゆる紳士ぶりに、生きている方がよいか、死んだ者の方がよいかと妙な風な考えになって、頭をさげるばかりだったという話を聴いた。ことに死者の胸に組合せた手の指の爪まで綺麗に磨かれてあったという事が、舞台で化粧をこそすれ、何事にも追われがちの不如意の連中には、指の爪のことまで繊細な気持ちを持っていられなかった人々が、感銘深くながめたという有様だった。

病床で川上が言続けていた、フランス・パリーの博覧会――そここそ、マダム貞奴の名声を赫々と昂げさせたものである。海外にあって最も輝かしかった三ツの歓喜、そのひとつは亜米利加ワシントンで、故小村公使の尽力で、公使館夜会に招かれ、はじめて上流社会に名声を博し得たこと。