Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
モスクワのつじばしゃ
モスクワの辻馬車
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワの辻馬車 (モスクワのつじばしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.305 Zeichen · 17 Bildschirme
モスクワ人は馬車にあふれる程荷物をつみこみ、而も、たとえばステーション前などではスラブ人的忍耐を極度に活用して、賃銀協定をやるのであった。こういう事情がなかったら、裏のいたんだ外套をそのまま着ている小さい日本女が、どうして二ルーブリ、十五分に出す決心をしたろう。
日本女は、写実劇場まで行かずサドー※(濁点付き片仮名「ワ」、1-7-82)ヤの交叉点を一寸越したところで馬車を止めさせた。彼女は歩道の菩提樹のわきへおり、御者台にあおむいて云った。
――私は約束通り二ルーブリ払うよ。――一ルーブルこまかいのを持ってる?
――三ルーブリより少い金は受けとらない!
――このあたいはよくとも悪いあたいじゃない、私は一コペックだって増す気はないんだ。
――三ルーブリ! 三ルーブリ!
御者は、腰をひねって歩道に立っている日本女に向って黒い髯のある顔を下げ、太い声をひっぱって云った。
――三ルーブリ……わかりましたかね? それをあんたは払わなくちゃならないんだ。初めっから寄り道するって云わなかったじゃないか。
日本女は強情そうな目付で御者をじっと見、はっきり一言一言区切って云った。