Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワのつじばしゃ
モスクワの辻馬車
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワの辻馬車 (モスクワのつじばしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.305 Zeichen · 17 Bildschirme
――どうしてこんなところにかたまってるんだ?
御者は、馬車から下りて馬のわきへ立ったまんま低い声で答えている。
――外国女が金を払わないんだ。
――ロシア語が判んないのか?
――わかりますよ。
日本女が答えた。
御者は何も云わない。――
茶色の革帽子をかぶって共産青年同盟員らしい若者が人だかりの輪のうしろから体をはすかいにして出て来た。馬車の上の外国女を一寸眺め、巻煙草の吸殼をすててそれを足でもみ消しながら、
――行けよ、警察へ行った方がいいや。
御者に云った。
――このトゥウェルスカヤ通りにあるよ。
――あすこにないんだ、もう。行ったんだが。
――あの先だ。
うしろの方から誰かがのび上ってるような声で叫んだ。
――百十番地だよ、トゥウェルスカヤの。
御者は、みんなの言葉にかきあげられるような恰好で再び御者台へのぼった。蹄の音を乱しながら馬をまわした。再び「イズヴェスチア」新聞社の高い時計台。映画館「アルス」から降るイルミネーションで、外套の肩と胸とを赤く照らされながら、歩いている通行人。
決して歩調をはやめずまたサドー※(濁点付き片仮名「ワ」