Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ラしのふえ
ラ氏の笛
松永 延造
Lesen Sie ラ氏の笛 (ラしのふえ) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.706 Zeichen · 18 Bildschirme
凡ての費用を貴院から仰いでいる由を承知して、私たちは、哀れな同胞に対する院長の厚い同情を深く感謝している次第である。御恩の程は決して忘れる事が出来ぬであろう。
私達は横浜出立の間際に、ラ氏死亡の旨を貴方達から聞いて、驚きもし、悲しみもした。尚お貴方方から私達へお託し下された、シャツ、ニッケル指環、笛等は間違いなく、彼れの母(今は某家に乳母をつとめている)の下へと届ける事をお約束する。
私たちが故国へ帰着した時、先ず第一に同胞へ説き明かさねばならぬ事は、院長及び副院長の此の上なき懇切な御所業である……云々……
九
最後に、私は此処で、ラ氏が言い遺した一つの思念を想起する。
「私は何んな場合でも、極く自然に、幸福を自分のものとした例を知らない。何時も不幸でもって、幸福を買ったのである。」
それなら、最も大きい不幸たる彼れの死を条件として、漸くに買い取った幸福がありとすれば、それは一体何物であったろう。
私は思う。それは彼れが日本の地で持ち慣れた横笛を故郷の母へ無事に送り、その笛をして「汝の息子は平和に息を引き取った、そして、汝の息子がこの地上から影を隠すという事は、結局、月の一部が虧けるのと同じで、本統は何一つ失われて居ないのである。