Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
Lesen Sie ロッパの悲食記 (おもいで) von 古川 緑波 (ふるかわろっぱ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.651 Zeichen · 114 Bildschirme
一昨年の冬だった。或る雑誌の座談会が、此の島金で催されて、何十年ぶりかで行った。なつかしかった。然し今は、牛鍋屋でなくて、普通の料理屋になっている。
同じ神楽坂に、えびす亭がある。
ここいらは、早稲田の学生頃に、よく行ったが、学生向きで安直なのが、よかった。
安直ということになれば、米久の名が出る。米久は、一人前五十銭(?)から食わせた、大衆向の牛鍋屋で、而も、その五十銭の牛鍋の真ン中には、牛肉が塔の如く盛り上げてあったものである。
米久は、いろはの如く、方々に支店があり、どの店も安いので流行っていた。
そして、各店ともに、大広間にワリ込みで、大勢の客が食ったり、飲んだりしている。その間を、何人かの女中が、サーヴィスして廻る光景が、モノ凄かった。客の坐ってる前を、皿を持った姐さんが、パッと、またいで行く。うっかりしていると、蹴っとばされそうだった。「牛屋の姐さんみたいに荒っぽい」という形容が、ここから生れたのである。
本郷へ行けば、大学生相手の、豊国、江知勝。
浅草まで飛べば、ちんや、松喜、今半。
僕は昭和八年から、足かけ三年間を、浅草で暮したので、随分、この辺の牛鍋も突ついている。