Japanische Klassiker mit Furigana
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ロンドンせんきゅうひゃくにじゅうくねん
ロンドン一九二九年
宮本 百合子
Lesen Sie ロンドン一九二九年 (ロンドンせんきゅうひゃくにじゅうくねん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.789 Zeichen · 62 Bildschirme
外国人は時々それを見ることによって、少くともローヤル・アカデミー会員の描いた肖像画展覧会に於けると等しく、英国のあらゆる位階勲等を学ぶことが出来る。包紙としてもなかなか丈夫で役に立った。然し日本女は『デイリー・ヘラルド』を欲しいと思う。
ホテルの玄関は石張りである。そこへ若い女が膝をついてしゃぼんをつけたブラッシュと雑巾を手にもって床洗いをしている。鍵番の爺さんに日本女は明日の朝から『デイリー・ヘラルド』を配達して呉れと云った。するとその金ボタンの大入道は小さい日本女を見下しつつ、云った。
――それは労働党新聞です、お嬢さん。
――知っている。それがほしいんです。
――デイリー・ヘラルドを?
――そうです。
――かしこまりました。
翌朝室の戸をあけたら、靴の上にきちんとのっかっているのはデイリー・メイルだ。
――貴方デイリー・メイルをよこしたのね。玄関へ行って日本女は云った。
――あれならいらない。デイリー・ヘラルドよこして下さい。……きっと、ね?
――かしこまりました。お嬢さん!
次の朝は――もう何にもよこさない。
ラムゼー・マクドナルドの髯の大さはこの頃一種の目立ちかたをして来た。