Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ヴォルフのせかい
ヴォルフの世界
宮本 百合子
Lesen Sie ヴォルフの世界 (ヴォルフのせかい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.928 Zeichen · 4 Bildschirme
絵画ではきっと処理しきれないだろうと思えるどっさりの生活の感情が、そこには流動する立体感であつかわれている。
もう一つ非常に印象をうけたのは、その一冊の終りの方に工場や作業台に向って働いている人々を撮った何枚かの中の一枚で、精密な機械の調べ手入れのようなことでもしているらしい年寄の男の写真である。時計屋が使うような片目の覗き眼鏡にぴったり顔をおっつけ、右手でその眼鏡の下のものをいじっているところだが、ヴォルフはカメラをその顔や手の、下の方から向けた。
皺のある大きい老職工の顔のかぶさった肉体的な全容積と頑固な形をしているくせにその仕事にかけての巧妙さを語る大きい手先とが、小さな覗き眼鏡の円筒を中心として、その小さい道具を既に生理の一部分にとかしこんでいるような吸着力で捉えられている。仕事への熟練とその集注力の大さとが、いかにも人間の肉体を通して語られている。こんな微細な作業から大きいこともしてゆく人間の精神への感興が、おのずから湧きおこされて来る。
ヴォルフがいつも自分の撮そうとする対象を愛しているということは、その作品集の日本の編者も絶讚していることだけれども、芸術家が対象を愛すというのはどういうことを意味するのかと実に面白く考えられた。