Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひとつのできごと

一つの出来事

宮本 百合子

Lesen Sie 一つの出来事 (ひとつのできごと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.024 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

その足もとに足を組んで何か見ている小娘の姿まで、瞬間の眼に写ったすべての光景は、まるで想像もできないほど変化している。たぶん私が上で、故国から来た新聞でも読んでいる間に、下では住む人間の「なかみ」がすっかり入れ換りになってしまったのであろう。

私は思わず「まあ」と云って階子(はしご)を馳け下りた。意外である。全く思いがけない。どうしてそんなに速く引越しができたのだろう。

荷物を運ぶ様子もなく、人の出入りする気勢(けはい)もなくて住む人間は換っている――。ほんとに意外である。意外であると同時にまた恐ろしく滑稽である。ちょうど何か小さい羽虫が、どこかの畑に転っている西瓜の巣を、目瞬きする間に引き払って、隣りの南瓜(かぼちゃ)に引越したような単純な可愛さがある。世の中に、こんなにも素早い引越しをする者がまたとあるだろうか。

いつもブタブタなオバーオールを着て、腕を捲(まく)り上げたお婆さんの命令のままに、パイプを銜(くわ)えてのそのそと動いていたお爺さんを想うとき、この想像は一段と光彩を増すのである。

私共は珍らしく理も非もなく長閑(のどか)な心持になって虫のお引越を話し合った。